英語では『The Will To Meaning』、「意味への意志」というタイトルで、原著は1969年出版です。これは私の生まれた年なのですが、フランクルを読んでいて思うのは、内容に古さを感じないことです。ホモパティエンス(苦悩する人間)の考え方が私は特に好きなのですが、苦悩することが人を自己超越させる契機となるとの考えは、近年売れているスタンフォード大学のケリー・マクゴニガルが『upside of stress』の中で多数の実験結果をもとに主張している考えと軌を一にすると言えるでしょう。
人前だと胃がゴロゴロなってしまう学生がいました。胃が鳴らないようにしようと考えるほど、胃は鳴ってしまいます。彼はもうあきらめて、これはもう一生変わらないや、変な体質だよなあ、などと考え、友人と一緒に笑いのネタにしたようです。するとまもなく彼の胃はもうゴロゴロ鳴らなくなりました。
ユーモアによって、自分の置かれている状況や、そこで苦しんでいる自分を微笑ましく眺めることができれば、そこに向き合う新たな態度が自然と人に備わり、苦しかった状況がそれほどもなくなってきます。
「逆説志向はいつも可能な限りユーモアある方法で作られるべきなのです。ユーモアは人間に見通しを持たせ、自分と対峙するものとの距離をとらせます。同じように、ユーモアは自らを自分自身から引き離し、それによって自分を最大限制御できるようにするのです。自己分離という人間がもつこの能力を活用することは逆説志向が基本的に達成することなのです。」 p.167
つらい出来事があったとき、そこにいる自分をユーモアある視点で眺めてみると、感情的なわだかまり、怒り、恐怖が幾分克服されていることに気づきます。より想像力を働かせて自己自身に対峙するユーモアの能力を磨けば、苦しみの中から、わずかでも自己超越をする契機をつかめる気がします。完成度が高いコメディは、映画であれ、小説であれ、鑑賞後、元気が出たり、ふっきりれたようなさわやかな気分を与えてくれるものです。これも適切な「自己分離」感を与えてくれているからなのでしょうか。
ロゴセラピーの活用の一つに、「自己分離」というものがあります。有名な「逆説志向」とも関係するのですが、自分の持つ症状や、苦しみの原因に対する態度として、自分の姿を少し上の視点、鳥瞰的に距離を取ってみることです。そのために有効なのがユーモアであるとフランクルはいくつかの著作で述べています。本書にもその例が紹介されています。
人前だと胃がゴロゴロなってしまう学生がいました。胃が鳴らないようにしようと考えるほど、胃は鳴ってしまいます。彼はもうあきらめて、これはもう一生変わらないや、変な体質だよなあ、などと考え、友人と一緒に笑いのネタにしたようです。するとまもなく彼の胃はもうゴロゴロ鳴らなくなりました。
ユーモアによって、自分の置かれている状況や、そこで苦しんでいる自分を微笑ましく眺めることができれば、そこに向き合う新たな態度が自然と人に備わり、苦しかった状況がそれほどもなくなってきます。
「逆説志向はいつも可能な限りユーモアある方法で作られるべきなのです。ユーモアは人間に見通しを持たせ、自分と対峙するものとの距離をとらせます。同じように、ユーモアは自らを自分自身から引き離し、それによって自分を最大限制御できるようにするのです。自己分離という人間がもつこの能力を活用することは逆説志向が基本的に達成することなのです。」 p.167
つらい出来事があったとき、そこにいる自分をユーモアある視点で眺めてみると、感情的なわだかまり、怒り、恐怖が幾分克服されていることに気づきます。より想像力を働かせて自己自身に対峙するユーモアの能力を磨けば、苦しみの中から、わずかでも自己超越をする契機をつかめる気がします。完成度が高いコメディは、映画であれ、小説であれ、鑑賞後、元気が出たり、ふっきりれたようなさわやかな気分を与えてくれるものです。これも適切な「自己分離」感を与えてくれているからなのでしょうか。